バローロ生産者「ジャコモ・コンテルノ」の歴史

イタリアを代表するワイン・メーカーである Giacomo Conterno (正式な名称は、” Conterno Giacomo Azienda Vitivinicola “)の歴史をまとめました。
 
バローロ・モンフォルティーノ・リゼルヴァのエチケット

「ジャコモ・コンテルノ」社 沿革

1908年

ジャコモ・コンテルノの父ジョバンニが、San Giuseppe 村で、Bar(バール)を開業。
「ジャコモ・コンテルノ社」 のワイン・メーカーとしての歴史は、その店で提供する自家製ワインを造っていたことから始まる。

その当時、ランゲ地区のみならずイタリアの一般的な慣習として、飲み屋やレストランの多くが、葡萄栽培農家から葡萄を買い付けて、自分の店でワインを造っていた。
ワインの味は店の個性であり、飲み屋ごとに味わいも、ワインとしての品質の概念も、店毎に異なっていたのである。

ジョバンニとジャコモ親子は、店に通う常連客の舌に鍛えられながら、他の店との差別化のため、より高品質なワイン造りを志向することになる。
 

1920年

「ジャコモ・コンテルノ社」 のフラッグシップ・ワインである ” MONFORTINO RISERVA (モンフォルティーノ・リセルヴァ)” 誕生。

ジャコモは第一次世界対戦中従軍していたが、無事生還しランゲに戻った後、父ジョバンニとともに造った1920年ヴィンテージが商品され、初めて世にリリースされた。

※ 一説には1912年がファースト・リリースと言われる。

当時ジャコモ・コンテルノ社は、全く個性の異なる2つの畑を所有していた。

ランゲ地方の伝統に則り、2つの畑から生まれたバローロをアッサンブラージュ(調合)していたが、1920年、単一畑 ” MONFORTINO RISERVA ” を生み出して以降、その他の葡萄は、ノーマル・クラスのバローロやネッビオーロ用に回されることとなった。
 

1934年

父ジョバンニ、他界。

この頃、既にワイン生産者として知名度を上げていたジャコモは、ジョバンニとアルド、2人の息子のを授かる。

ランゲの風習では、一世代おきに長男が名前を次ぐ事が多い。

後に兄弟はワインビジネスを家業とし、事業を継承していくことになる。
 

1950年代後半

創始者の孫にあたるジョバンニは、父ジャコモをワイン造りの師と仰ぎながら、厳しい試練に耐えながらも技術を習得し、1959年に「ジャコモ・コンテルノ社」の醸造責任者となる。

ジョバンニは、父から継承された伝統的なバローロ造りの「その極限の世界」を追及していくことになる。

弟のアルドも父の教えに従い、また兄を助けながらワイン造りを学ぶ。

しかしアルド自身は、その当時対等してきた新しい農業理論やテクノロジーを用いた、従来のやり方に捕らわれない柔軟な発想でのワイン造りに傾倒していく。

point

※アルドが目指したスタイルは、所謂バローロ・ボーイズ的な「濃く」「甘い」「バリックで整形された」味わいのモダン・スタイルではない。

ランゲ地区の伝統に則ったワイン造りをベースに、合理的かつ革新的な醸造技術を取り入れ、同時にマーケティング手法を経営に取り入れた点である。

故に、両セラーが生み出すバローロは、今日「伝統的バローロ」の頂点として君臨している。
 

1961年

ジャコモ・コンテルノ、醸造の最前線より勇退。 実質上のセラーの運営は、ジョバンニとアルドの兄弟に委ねられた。
 

1969年

アルド・コンテルノ、独立。

ジョバンニとアルド兄弟は、それぞれ異なる道を歩み始める。

ジャコモ・コンテルノ社の畑はセッラルンガ・ダルバにあるが、隣り村のモンフォルテの「ブッシア」の丘に自身のセラーを構えることとなる。

一部アルドは兄ジョバンニと仲たがいをして出て行った、という噂もあるが、実は二人は大変仲の良い兄弟であった。(アルド・コンテルノは自分の末息子にジャコモの名前を付けるほどに、父と兄の仕事を尊敬していた。)
 

1971年

ジャコモ・コンテルノ、他界。
 

1974年

1974年、新たに隣接するエリアに新しい畑 ”CASCINA FRANCIA”を購入。
 

1980年代後半

現在のオーナーである息子(ジャコモの孫にあたる)のロベルトが仕事に加わる。
 

2004年

ジョバンニ・コンテルノ、他界。
 

2008年

ロベルト・コンテルノ、チェレッタ畑を購入。

現オーナー、ロベルト・コンテルノ

伝統的手法を踏襲したバルベーラを、ブラッシュアップさせた彼の功績は大きい。

ほぼ毎年収穫して販売可能な商品群が加わったことで、経営は更に強化された。

ロベルトは単に、自社の経営の強化だけでなく、地元の農業振興にも尽力している。

当然、一族に伝わるワインの醸造方法も継承しており、品質への妥協は一切ない。
 

商品と熟成期間の違い

さて、前述のとおり、ジャコモとジョバンニ親子が目指したのは、「ランゲ地方に伝わる伝統的醸造方法」によるワイン造りである。

つまり、伝統的な巨大な大樽を用いて長期熟成をさせた、「究極のワインの姿」である。
 

熟成期間の差

2013年現在、同社の商品は、” MONFORTINO RISERVA “” CASCINA FRANCIA “、” Barbera d’Alba “の3つに集約されている。

※ 嘗ては、バルバレスコやドルチェット・フレイザ等もつくっていた時代もあった。

リリース当時、” MONFORTINO RISERVA “は10年間、” CASCINA FRANCIA ” で4年間、Slavonian Oak(スラヴォニアン・オーク)で熟成を行っていた。

近年は” MONFORTINO RISERVA “における大樽での熟成期間は、通常の場合、7年間熟成となっている。

これは、栽培技術や醸造分野における自然科学の革新的な進歩によるところが大きい。

※1970年ヴィンテージの” MONFORTINO RISERVA “は、1985年までボトリングされなかった。(15年熟成)


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