Edi Kante (エディ・カンテ) 訪問2

カンテとのテイスティング

テイスティング・ルームへ戻ると、エディ・カンテの豊富なラインナップの中から、今飲める「全てのワイン」を飲ませて頂いた。
奥さんが1本づつ、丁寧に、それぞれのワインをガイドをしてくれる。

地場品種のマルヴァジアを含む、ノーマル・ラインの白ワイン、4本

まず、カンテのノーマル・ラインの白ワインからスタート。

トリエステの地場品種で造った ” Kante Vitovska 2005(カンテ・ヴィトフスカ) ” は、酸がたっぷりと凝縮されていてフレッシュな味わいが特徴だが、酸が溶け出し、既に蜂蜜の様なニュアンスが出始めている。冷やしてアペリティフとしても美味しく頂ける。

” Kante Malvasia 2005(カンテ・マルヴァジア) ” は、はシャープでドライな印象を、より強く感じた。
ピエモンテ州のアルバの町で飲んだ時には、よりバリックの印象を強く感じたが、05は、樽のニュアンスが大人しくなっているようだ。
カンテの白ワインは、どれも非常にクローズなワインで、いつも抜栓したては、カチンカチンだが、カンテ・マルヴァジアは、その中でも、特に固く感じる。

” ヴィトフスカ 2005 ” 程、華やかに香らない為、レバーや揚げ物等がよく合う。
香りが料理の邪魔をするような料理と合わせるならば、ヴィトフスカよりも、マルヴァジアがいいだろう。

” カンテ・ヴィトフスカ ” 、 ” カンテ・マルヴァジア ” とも、1年落ちのフレンチバリックを使用している。

” Kante Chardonnay 2005(カンテ・シャルドネ) ” は、酸と樽香が前述の、2本よりも強い。

” Kante Sauvignon 2005(カンテ・ソーヴィニョン) ” は、香りの立ち登り方も素晴らしい、なにより酸が美しいワインだ。

これまでにも、カンテの白ワインはいつくも飲んできたが、2005年については、地域のテロワールを強く感じるのはマルヴァジアだが、ワインとしての完成度を問うと、ソーヴィニョンが傑出していた。

エディ・カンテ登場

生ハムをスライスするエディ・カンテ

突如、エディ・カンテ本人が「いらっしゃい!、あ、ごめん、食事させて~!」と仕事の合間をぬい、慌てて駆け込んできた。
器用にハムをスライスしパンに挟み、モグモグと一気に、頬張る。

テイスティングを始めた時から、ハムやサラミは頂いていたが、
「ああ、ごめん、どうぞ、これ食べて!食べて!」と、これまた慌ただしく、ハムを切り出してくれた。

どこのカンティナでも、地元産や自家製のハムを切り出してくれるが、傾奇者のカンテの家は、ハモン・イベリコを愛食している。
まさか、生ハムの生産地としても有名なフリウリの地で、スペイン産の生ハムを、たらふく食べる事になろうとは、全く予想していなかった。

嵐のように仕事場へと帰って行ったエディ・カンテだが、急に僕らのことを気になったのか、急に仕事を途中で切り上げ、僕らのテーブルに着いて、ホストを始めた。

エディ・カンテとのテイスティング

2000年の ” Selezione ” を飲ませてもらう。

この年は ” Chardonnay ” 、” Malvasia ” 、” Sauvignon ” 、” Vitovska ” の4種類のセレッツィオーネがリリースされたが、” Pinot Grigio Selezione (ピノ・グリージョ・セレッツィオーネ)” は生産されなかった。

” Sauvignon Selezione ” 、” Vitovska Selezione ” は既に完売で、今ある ” Chardonnay Selezione ” 、” Malvasia Selezione ” を飲ませてもらった。

” Malvasia Selezione(マルヴァジア・セレッツィオーネ) ” は、大変繊細な味わいで、強烈なミネラル感があり、はやりクローズな状態だった。
一方、 ” Chardonnay Selezione(シャルドネ・セレッツィオーネ) ” は、アロマティックなストロング・スタイル。
どちらも緊張感があり、カルソ特有のミネラル感と、バリックからくるリッチなバランス感覚が、実に見事である。

この日抜栓したシャルドネ・セレッツィオーネは、ブショっていた。
カンテが抜栓したコルクを鼻に近づけ、「これは、駄目だ!」と、目の前でシンクへ流す。
新たに開けたモノは、香りは健全で、大変素晴らしいものだった。

ブショネは、So2を使わないワインにとっては当然避けがたいリスクだが、消費する側や売り手にとっては、博打のようなワインである。

さらに「セレッツィオーネは、どれもミネラルが強くて、クローズな状態なので、最低でも3時間以上のデキャンタージュが必要。」という、エディ・カンテ。
これは、ますますもって、お店では扱いにくいワインだ。

因みに、フリウリでは、デキャンタージュのことを「バ・スカラファルト!」と言うらしい。(デキャンタのことは「スカレラファレ」)

カパカパ

カンテとカパカパ

次に、カンテが保冷庫から取り出したのは、「KANTE」の頭文字である「K」マークが2つ、シンボリックにデザインされたフリザンテだった。

BRUT ” KK ” NV。  通称「カパ・カパ」(Kはイタリア語でカパ)

隣国スロヴェニア(数Km先)では軽めのスプマンテ作りが盛んで、その影響もあるのだろうか、このカンテのフリザンテは、シャルドネ75%、マルヴァジア25% からなる、ブラン・ド・ブランである。

1つの「K」は未来を見据えていて、もうひとつの「K」は過去に目を向け伝統を大切にする、という意味らしい。

フランチャコルタと比べると、華やかさという点では、見劣りするが、非常に切れ味よく、軽快な味わいである。

出しゃばりすぎず、ゼリーやムースなど、繊細な触感の料理の、よい引き立て役になりそうな味わいである。

衝撃のエクストロ

ふと、テイスティング・ルームに目をやると、「セレッツィオーネ」のアートラベルの中で、一際異彩を放つものがある。

「あれ、なんですか?」とエディ・カンテに質問をすると、奥さんは「ぶっ!」と吹き出して、笑いを押し殺し、エディ・カンテは、ニヤリとほくそ笑んで目を輝かせた。
「よくぞ聞いてくれた!」と言いたげな顔である。

カンテ・エクストロ

” extro(エクストロ)” 。

5~6年分の樽底に溜まった澱をかき集めて造った、究極の「変態ワイン」である。

エディ・カンテは、実はこのエクストロが一番好きなワインらしく、自らボトルをノリノリでシェイクして振る舞ってくれた。

エクストロを振るエディ・カンテ

驚くことに、この天然酵母達は、ボトリングされても未だに活性している、とのこと。
胃腸にもいいらしく、その語り口は、まるでヨーグルトの宣伝のようだ。
ご覧の通り、甘酒を思わせるような、凄い濁りようである。

白濁した白ワイン、カンテ・エクストロ

自称、フリウリ変態ワインの愛好家である僕も、このエクストロが一番好きである。
そのことを告げると、「お前、判っているな~!」という表情に代わり、その瞬間に、完全にエディ・カンテのスイッチが完全に入ってしまった。

お互い、相通じる(変態ワイン好きとして?)ものを感じたのか、僕の「ピノ・グリージョという品種は、女性に似ている」説は、いたく彼のハートに響いたようだ。

「そう、まったく!そのとおりだよ!! 俺なんかさ、彼女の機嫌が悪くならないように、毎日神様に祈っているよ!」

「いや、世界中の男が祈っているって!!」

握手を交わすエディ・カンテと僕。

でも両方の嫁の目がとても冷たい。。。(後程、嫁に蹴りをいれられました)

カンテは赤ワインも造っているが。。。

珍しい、カンテの赤ワインもトライ。

” Terrano 2004 ” は、レフォスコとインプレイサという、あまり聞き慣れない葡萄のブレンドワイン。酸味はあるがアルコール度がやや低く11.5%程度。

” Rosso 2004 ” は、メルロー、カベルネ、レフォスコ(均等)で、A/C13%と、ややボリュームがある。

レフォスコを使ったワインだと、前日にデニス・モンタナールのところに行った直後なだけに、かなり物足りない感じがした。

白ワインの完成度の高さ基準に考えてしまうと、もう少し研究が必要なように感じたが、彼ならではの発想の斬新さと、独自の表現を垣間見るが出来た。

テイスティングしたカンテのワインのボトル
テイスティングした、ワインのボトルの裏面

帰り際、 ” Selezione ” を始めとする、ワイン数本をお土産に頂く。
余りに悪いので ” Selezione ” の分だけはお金を払うと言ったが、更にお土産ワインが増え、8本頂いてしまった。

ゴリツィアに戻るまでの2時間。
まだ、日本から来て、3日目で、既にもらったワインが計14本。
嫁との車内会議の議題は、「これ、どーやって日本に持って帰るんだよ!」だった。


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