イタリアで最もブルゴーニュ的なワインを造る生産者 | Le Due Terre 訪問 3/3

ワイン談義が一通り終わり、近所のエノテカで昼食を取ることに。

しかし、ここからが、面白い。

店の名前は、 Trattoria da Mario ” Enoteca dello Schioppettino ”

なんと地場品種愛に溢れる、素敵な店名じゃないか… 。

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テーブルに着くやいなや、この店の名物店主、陽気な Marcoさんが、ご挨拶。

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F:「折角だから、まずは店名に敬意を表して、スキオペッティーノを飲もう!」

ということで、日本で見ることが無かった造り手のワイン、” La Viarte (ラ・ヴィアルテ)” の ” Schioppettino 2007 (スキオペッティーノ)” をオーダー。

la-viarte-Schioppettino

従来この品種は、別名「リボッラ・ネラ(黒いリボッラ)」の名前のとおり、酸味が強く出やすい。
加えて、グリーン・ペッパーのような香りがあるのに、タンニン分が殆ど感じられない、という不思議な特徴がある。

” La Viarte (ラ・ヴィアルテ)” の スキオペッティーノは、この葡萄の特徴をとらえやすい、親しみやすい味わい。
地場品種の個性を殺さずに、洗練されたスタイルを目指すスタイルに、好感がもてる。

こういう素直なワインは、もっと日本に入ってきてほしい。
モダンなつくりの赤ワインを、美味しく味わえる人なら、是非飲んで頂きたい1本だ。

白アスパラガスのグリルと生ハム、Cevapcici(セバチッチ)、グリルされたプロシュートが運ばれてきた。
スキオペッティーノのスパイシーな風味が料理を引き立てる。

 Enoteca-dello-Schioppettinoの料理1
Enoteca-dello-Schioppettinoの料理2
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フラヴィオが突如、携帯を取り出した。

F:「(ボトルをさして)このワインを造っているやつは、この辺では、スキオペッティーノ名人と言われているんだよ。
興味あるなら、近所だし、呼んでやるよ。」

と言うのが早いか、もう、召集している。

F:「なあ、今さぁ、日本のテイスターと食事してるんだけどさ。
お前も、日本人のテイスターの評価を直に聞けるチャンスだぞ。 早く来いよ!! 」

「ラ・ヴィアルテ」の ジュリオ・チェスキン、登場

急遽、御大からの呼び出しをくらった、白髭を蓄えた大男、” Giulio Ceschin (ジュリオ・チェスキン) ” が、突如目の前に登場。

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シャープな眼鏡をかけたスキンヘッド。

見た目は、一見インテリ・ヤクザのようでおっかないが、話し方は至って物静かで、とても思慮深い紳士。

今、日本の正規インポーターはなく、是非日本人の好みに合うか等、感想が聞きたいということだったので、前述の印象をそのまま伝えた。

(ジュリオとはその後凄く仲良くなり、たまにメールをやり取りしている。 後日、日本ではエトリヴァンが、一時期輸入していたことが判明。)

それにしても、ナチュラルワイン生産者の代表格である「レ・ドゥエ・テッレ」の味わいとは、対局に位置するようなワインなのに、何故フラヴィオが『スキオペッティーノの名人』だと語ったのか、その真意が未だにつかめない。
 

念のためにもう一本、店の棚にあった ” Vigna Petrussa ” 社の スキオペッティーノをあける。

Vigna-Petrussa

2本を飲み比べると、” La Viarte” の ” Schioppettino 2007 ” の方が洗練されていて、より現代的なテイストに仕上がっていることがわかる。 

・・・今や、僕の舌と胃袋は、ジュリオの実験場だ。
ジュリオ、奥さんに電話。

G:「おーい、急いでウチの ” Refosco(レフォスコ)” と ” Tazzelenghe(タッツェレンゲ)” 、持って来いや!」

遅れて、幾つものボトルを抱た、奥さん、Federica(フェデリカ)さん登場。

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この時の味わいについて、メモを取っていないので、かなり印象は薄れてしまったが、仮に、タニックの強さをカレーの辛さに喩えるとすると、タニック度(渋みの強さ)は、以下のとおり。。。

  • スキオペッティーノの「1渋」
  • レフォスコは「5渋」
  • タッツェレンゲは「7渋」

(この後、ラ・ヴィアルテのセラーも訪問するが、そこで飲んだ ” Pignolo (ピニョーロ)” は「10渋以上」の破壊力)

どのワインも、低温発酵を行い、バリックのニュアンスが適度に出ていて、早い時期から楽しめる、人懐っこい味わい。

「舌を切る」という意味を持つ、タッツェレンゲも、”la Viarte “のワインでは、豊富なタンニンがかなりマイルドに表現されている。

試しに、最初に飲んだスキオペッティーノに戻ると、全くと言っていいほど渋味が感じられない、フルーティーなワインに映る。

どのワインも、更に5年以上熟成させてから、もう一度飲んでみたい。

そうこうしているうちに、日本変態ワインファンにはお馴染みのナトゥラリスタ(自然派)、” Ronco Severo (ロンコ・セヴェーロ)” の ” Stefano Novello (ステファノ・ノヴェッロ)” が、訪問客と共に来店。

そこからは、怒濤の大テイスティング戦争。 
・・・まだ昼間だ。

G:「まあ、ウチのを飲んでよ。」と夫婦で、店内の客に振る舞い酒を始める、ラ・ヴィアルテ軍。

ロンコ・セヴェーロ軍も負けていない。

自分達のテーブルにまで、” La Viarte “のボトルが越境して来たのを見兼ね、

S:「おお、日本からのテイスターだって。 これ、俺の自信作。 フラヴィオ達も飲んでよね。」

と、応戦するステファノ。

Le-due-terreとの食事会

T:「いや、貴方のワインには日本では良く世話になっているよ。 特に(変態チックな)亜硫酸無添加のトカイは衝撃だった。」

F:「(先生が駄目な生徒をたしなめるかのような口ぶりで、)お前ね、 そういう変なワインばかり造っているじゃないよ。(笑)」

S:「いやいや。判ってないねぇ。 今はこういうワインがイケテイルんだよ。(笑)」

本当に、フリウリの生産者達は、熱い!!

だた、両軍とも、フラヴィオに対してだけは、頭が上がらない様子。

Flavio Basilicata (フラヴィオ・バジリカータ)と Silvana Forte (シルヴァーナ・フォルテ)。

二人は、プレポットという偏狭な田舎を、ファインワインの生産地として世に知らしめた、「生きるレジェンド」なのだから、それは仕方のないことだ。


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